私は冷酷無比の主夫、ゴルゴだ。
昨日の夕飯は、蒲焼。
サンマの缶詰、である。
缶詰2つを3人分に分けて、ドンブリご飯の上に乗せ、山椒をふりかけ、蓋をし、蒸らす。
サンマ丼の出来上がりだ。
長男と次女の喘息プールから帰って来た妻に、「子供の飯はこれだ」と言う。
「野菜は?」と妻。
私は「ない」
「買って来ようか?」
「いや、いい」
明日、玉子の特売があるから、それに合わせて買い物をしたいのだ。
冷酷な主夫なのだ。
油揚げとわかめの味噌汁を作る。
「これでいいか」と妻に訊く。
「大人は?」と妻。
「サバ缶」
「それだけ?」
「後は・・・キムチとゆで大豆だ」
妻は本意ではなさそうである。
たしかに、手抜き料理である。
妻は「なんでもいい」と言う。
なんでもいいということは、全然嬉しくない、ということだ。
そういう判りやすい妻が・・・私は好きである。
でもやっぱりサバ缶だ。
結局、冷酷無比な男だ。
私とゴルゴ13はよく似ている。
ゴルゴ13がサバ缶食べるかは、不明だが。
子供は料理が手抜きだということは全く気にしていない。
こいつらは、ドンブリに入ってさえいれば、なんでもよく食べる。
食べるのも早い。
朝もドンブリにしたほうがいいかも?って感じだ。
手抜き夕飯を食い終わった後、喘息プールに行ってない長女は風呂に入る。
私は妻に、長男がいずれ、ご飯の後片付けとかしてくれるようになると、最高に嬉しいし、そのときのご褒美は何にするべきか、というような話を長男によく聞こえるように話していた。
長男は、聞こえないふりをして、次女と遊んでいた。
新聞屋が集金に来た。
スケート場のチケットをくれたおにいちゃんだ。
妻が「私が出ると長くなるから」ということで、私が出た。
私は、5千円を渡し、新聞屋のおにいちゃんはつり銭を数えた。
「最近、つり銭がよく見えないんですよね」
「ああ、うちの玄関、暗いですから」
「いや、そういう意味ではないけれど、もう年ですからね」
「そんな年でもないでしょう」
「私、こうみえても44なんですよ」
「ああ、私は42です」
「年相応でしょ?」
「そうですか?」
「そう言われませんか?」
「最近、人と話してませんから」
「ああ・・・仕事柄・・・そうなんですか・・・ですね」
かみ合わない会話である。
後で気付いた。
このおにいちゃん、たぶん、「若く見えますね?」といって欲しかったに違いない。
私も、空気の読めない男である。
ゴルゴ13なのだ。
妻が、「スケートのお礼言った?」と訊いた。
私は「ああ、忘れた」と言った。
ま、チケットの有効期限、2月末だから・・・
やっぱりゴルゴ13だ。
(関係ないか・・・)
ふと見ると、長男、飯の後片付けをしている。
妻に「やれっていったの?」と訊く。
「いってないよ」
フッフッフ・・・先ほど仕掛けた罠にハマったか。
あらゆるところに罠を張り巡らせておくことがゴルゴなのだ。
私は長男に「自分からやったおまえはすごくポイントが高い。おねえちゃんには内緒にしとけよ」と言った。
皿を洗いながら長男は、「何をくれるの?」と訊いた。
それは・・・考えてない。
「ポイントだから、貯まって来てからのお楽しみだ」
「どうすれば貯まるの?」
「一人でこっそりお手伝いするとか、一人で挨拶するとか、新聞屋のおにいちゃんにこっそり、スケート面白かったよっていうとか」
「あっそう、って言われるかも」
「いいや、『あっそう』とは言われない。言われるとすれば、『あ?そう』だ。もし新聞屋のおにいちゃんが『あっそう』っていったら、小遣い倍にしてやる。そのかわり、『あっそう』って言わなかったら、小遣いなしってのはどうだ?」
「いや、いい」
「それはなしでいいから、とりあえずおにいちゃんにこっそり訊いてみな」
「わかった」
・・・実は、この最後のやりとりが、ゴルゴのミスだった。
長女が風呂場から、「あっそうっていうから、小遣い倍にして!!」と叫ぶ。
意味が違う。
しかし・・・なんで風呂に浸かりながら台所の喋り声が聞こえるんだ?
凄まじい聴力だ!!
本物の「ゴルゴ13」は長女かもしれない。
で、なんで近くで本人に話していることが聞こえないんだ!!
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