「今日引っ越してこられたのですか?」
「ええ・・・・まあ、そうです」
「私も隣の部屋になりましたんですよ。どうぞよろしくお願いしますね」
「いや~1階じゃなかったんですか。それはどうも、よろしくお願いします。私の部屋は元々リビングみたいだから、是非遊びに来てくださいよ。こう見えても料理も作りますし、色々ご馳走もしますよ」
「ありがとうございます、嬉しいです!お料理上手なんですってね。大家さんもおっしゃってました」
「大家が?」
「ええ、楽しみにしててねって言ってました」
「楽しみ?なんで?・・・・ま、いっか。で、今日は?お忙しいのですか?」
「私の予定ですか?ええ、これからどうしようかと思っていたところなんですが・・・」
「じゃあ、私の引越し祝いということで、自分でするのも何ですが、パーティでも・・・しましょうか」
「本当に?素敵!嬉しいです。正直言うと、私料理あまり得意じゃなくて。じゃあ、お買い物とか、ご一緒しません?あ、もし、よかったらで、結構ですけど・・・」
「も、勿論!行きます!食材なければ霞み食ったって旨くも何ともないですからね~ハハハ!・・・いや、冗談ですがね・・・」
「じゃあ、私ちょっと出かける支度をしてきてもいいですか?」
「ああ~そうですね!私は・・・いや、何もないけど・・・とりあえず、外で待ってますよ!」
「すみません、じゃあなるべく早く支度しますんで」
「はいはい~!いや~なんかこんなにトントン拍子にいい話ってありえなくない?ま、過去にはなかったが・・・そんなことはどうでもいっか!」
オプレーシブグレイン・SOHOアベニューの前でルミを待つ隆三。
「何かわすれてるような気もするな・・・・大体、男と女の出会い系としては上手く行き過ぎか?バツ1だっていってたけど、所帯染みてはないよな、ま~若くはないけどってオレも若くないか(^▽^ケケケ」
何気に表札を見る隆三。
「ああ~もうオレの名前入れてくれているんだな、ま、当たり前か!郵便届かないもんな!(^◇^)ケケケ・・・ん?え~と、葉山彰子ってのは大家だな、浅倉欣二ってのは、あの無愛想なIT関連のオヤジか。坪内瑠美ちゃんがオレのルミちゃん(*^o^*)で?穂高ウタコと西村ユウト?前に住んでた住人の消し忘れか?それとも、住んでるのか?」
ここで冷静に、外から家を見る隆三。
「部屋は、1階に4つ、2階に4つ、ある訳か。まあ・・・でも、元々二世帯住宅だって言ってたしな。オレが借りてるのは一部屋とリビング丸ごとだから、1階もそうなってる訳かな・・・・」
「・・・・」
「気のせいかな・・・1階の窓に子供がいたよな・・・そういえば、さっき女の子がいたんだよな・・・」
隆三の部屋の真下にあたる、1階のリビングを外から覗き込む隆三。
明かりがついてなく、暗くてよく判らないが、昔ながらのリビング、というか、かなり物が多く、物やゴミが散乱して散らかった印象である。
「まだ片付けてないというより、片付けたことがないって感じ?・・・子供がいたよな??気のせいか?」
「ごめんなさい、遅くなってしまって」
「いえいえ、全然待ってませんよ~。(スッポかされたかと思ったよ、しかもさっきと何も変わってないと思うけど)何かされてたんですか?」
「いえ・・・部屋に入って支度をしてたのですが・・・すっかり忘れてしまって」
「そうですか~・・・・」